今回は血管迷走神経反射について分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
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Toggle血管迷走神経反射とは?
血管迷走神経反射とは、脳神経の10番目である迷走神経が特定の刺激に過剰に反応して心拍数や血圧が急激に低下し、その結果として一時的引き起こされる状態を指します。
この反射は人間の自然な反応であり、原因となる刺激には様々なものが存在します。
具体的には身体の過度な痛み、強い恐怖感、または長時間の身体的ストレスが主な引き金となり得ます。
血管迷走神経反射の症状には以下のような特徴があります
①意識喪失:心拍数や血圧が突然下がることで、一時的に意識を失います。
※ホラー映画などで失神するケースです。
②顔色が悪くなる:血圧の低下により、皮膚や顔色が蒼白になることがあります。
③冷や汗:緊張や不安から、冷や汗をかくことがあります。
④吐き気または嘔吐:迷走神経反射が胃腸系に影響を及ぼし、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。
⑤不安感の増大:得体のしれない不安感や恐怖心の増大によって集中力の欠如や気分の落ち込みが激しくなります。
迷走神経とは?
迷走神経は、私たちの体の中で非常に重要な役割を果たしています。
その名前はラテン語の”vagari”(彷徨う)に由来し、内臓のの様々な部位に広がっていることから名付けられました。
迷走神経は、自律神経系の一部であり、心臓、肺、胃、そして腸などの内臓器官を制御しています。
主な役割の一つは、心拍数の調節であり、迷走神経が活性化すると心拍数は低下します。
例えばリラックスしているときや寝ているときなど、身体が休息のモードにに入ったときに特に働きます。
そして迷走神経は消化系にも大きな影響を与えます。
胃や腸の筋肉の動きをコントロールし、食べ物の消化と栄養素の吸収を助ける役割を果たします。
さらに迷走神経は呼吸にも関与しています。
呼吸速度を落とし深呼吸を促すことでリラックス状態を引き起こします。
以上のように、迷走神経は心臓、消化系、呼吸系など、私たちの体の重要な機能を調節し私たちの生活の質を向上させています。
そして、血管迷走神経反射を語る上では迷走神経の腹側と背側の問題も外せません。
腹側と背側
じつは迷走神経は腹側と背側に分ける事が出来ます。
そして、機能も全く異なりますので順番に説明させて頂きます。
【腹側迷走神経】
生物における神経系の発達は爬虫類から哺乳類にかけて機能が発達してきたと言われております。
腹側迷走神経は哺乳類に機能している生物の中で最も新しい神経系とされています。
具体的には呼吸器系や各臓器の働きを担っております。
そして他者とコミュニケーションを取る際に相手の「声のトーン」「口角周辺の表情筋」「肩の筋肉の動き具合」「目つき」の状態を判断する、いわば【自分が安全に過ごすために他者と調和をしようとする神経系】となります。
他者とのつながりや社会で物事を円滑に進めたりしようと働く神経のため、社会交流の自律神経とも呼ばれます。
自律神経失調症やメンタル面の不調の際にとても重要視する部分です。
腹側迷走神経が活性化されると対人関係を行いやすくなり、社交性が出てくると言われております。
【背側迷走神経】
背側迷走神経は「不動の神経」とも言われております。
これは言葉の意味の通り動かなくなるという事で、周囲の環境に対して自己防衛のために心拍数を下げて活動を行わない事で自己の身を守ろうとします。
人には【闘争逃走反応】というものがあり、敵から身を守るために戦ったり逃げたりします。
※詳しくはこちら
現代社会で例えると仕事を頑張ったり辛いことに耐えたりする事です。
しかし、長期間を仕事に忙殺されたり、心身に重度の負荷がかかると、この背側迷走神経が優位に働き自分の身を守ります。
結果として「凍り付き反応」という反応が起きて身体が動かなくなったり、気分の落ち込み、集中力の低下、乖離減少が起こりやすくなります。
こうなる事で自分のエネルギー活動量を抑え、少しでも生存本能を上げようとします。
なお、健康な場合には背側迷走神経は休息、回復、消化などを整えてくれます。
唾液と消化酵素を分泌し、消化のために腸の動きを整えてくれる働きもあります。
一般的な検査・診断
病院での血管迷走神経反射の診断の際には比較的問診が中心となります。
どのような状況で失神が起こったか、前駆症状はあったか、どのくらいの頻度で失神が起こっているかなど、詳しく確認します。
細かく検査をする場合にはヘッドアップティルト試験という検査が行われることもあります。
ただし、血管迷走神経反射にも関係する失神はほかの病気によっても生じます。
具体的には起立性低血圧、動脈乖離、不整脈、脳血管障害なども関与します。
なので除外診断の為にも、心電図、24時間ホルター心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査、血液検査、尿検査などが行われることもあります。
一般的な治療
血管迷走神経反射では、睡眠不足やスマホの長時間の使用、長時間の立位を避けることや、その他の生活指導が基本となります。
そのほかにも起立調整訓練によって長時間の立位に対して失神を起こりにくくしたり、医師によっては薬物療法を行う方もおられます。
しかし、ほとんどは生活指導をうけて日常を改善していく事をすすめられます。
当院のアプローチ
当院の血管迷走神経反射に対してのアプローチは、血管迷走神経反射を治す目的では行いません。
まずは首から骨盤にかけての背骨の状態を特殊な器具で細かくチェックさせていただき、必要であればカイロプラクティックアジャストメント(矯正)をさせて頂きます。
そして体の前後のバランス、下肢のバランスをしっかりと整えていきます。
横隔膜より上の腹側迷走神経系の支配領域が緊張してしまっているのか?
もしくは横隔膜より下の背側迷走神経系が過活性によって心身全体に活動停止のサインを送ってしまっているのか?
この結果によって対処が全く異なります。
なので患者様によって対処方法が全く異なります。
この上記の部分をしっかりと改善されることによって、心身を穏やかに保ち、凍り付き減少や血管迷走神経反射の改善を促します。
もちろん、全身の状態をしっかりと把握したうえで施術を行いますし、痛みもありません。
老若男女、どなでも安心して受けて頂けるケアをなっております。
まとめ
特に思春期の女性のかたに多いとされている血管迷走神経反射は日にち薬とも言われており、成長するにつれて改善される方が多いです。
しかし、一向に症状が良くならない方がおられるのも事実。
血管迷走神経反射に限った事ではありませんが、今回お話させて頂いた神経領域によって、心身に様々な弊害が出ているかたが今の世の中は本当に多いです。
何かしらのお身体に不調がある方は一度お気軽にご連絡いただければ幸いです。
※この記事以外にも血管迷走神経反射について知りたい方はこちらをどうぞ

黄(ファン)のプロフィール
カイロプラクティック業界に携わり15年目になります。
これまで名古屋のカイロプラクティック専門学校、サンフランシスコへ解剖研修留学、大阪のカイロプラクティック専門学校(現在は閉校)を卒業し国際基準であるカイロプラクティック理学士(Bachelor of Chiropractic Science)を取得。
現在も様々なセミナーを受講し続けております。
「人が良くなるとはどういうことか?」を常に追求し続けるため、そして【日本に正しいカイロプラクティック】を普及する為に地元春日井にて「イネイトカイロプラクティックオフィス」を開院。
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※カイロプラクティックについて知りたい方はこちらをどうぞ→【カイロプラクティックと整体の違い】