患者さん「最近、足がしびれるんです。ヘルニアですかね?」
私「可能性としてはありますが、ヘルニア=痺れではないんです」
このようなやり取りが、当院ではよくあります。
たしかに「足のしびれ=椎間板ヘルニア」というイメージは、テレビやネット記事などで広く浸透しています。しかし、実際には【ヘルニアではない原因】で足がしびれている方が、むしろ圧倒的に多いのです。
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Toggleなぜ多くの人が「しびれ=ヘルニア」と誤解するのか?
「ヘルニア」とは、背骨の間にある椎間板(ついかんばん)というクッションが飛び出し、神経を圧迫して痛みやしびれを起こす疾患です。

レントゲンやMRIで椎間板が突出していれば、画像上では「ヘルニア」と診断されることがありますが、問題は「画像と症状が一致しないケースが多い」ということです。
たとえば
- 右足がしびれているのに、画像では左側のヘルニアが見つかる
- しびれの範囲がヘルニアによる神経支配領域と一致しない
- 手術をしても改善しない
こういった方は、本当の原因が他にある可能性が高いです。
足のしびれを起こす他の原因について
足のしびれの原因には多様な可能性がありますが、実際の臨床現場では以下の3つの原因が非常に多く見られます。
原因1:殿筋(お尻の筋肉)の硬結
じつは、筋肉が固いというだけでもしびれは起きます。
お尻の奥には「梨状筋(りじょうきん)」という筋肉があり、そのすぐ下を「坐骨神経(ざこつしんけい)」が通っています。
この梨状筋に強いコリや硬結(トリガーポイント)ができると、坐骨神経が物理的に圧迫され、太もも〜ふくらはぎ〜足先にかけて、ビリビリとしたしびれが走ることがあります。これを「梨状筋症候群」といいます。
MRIでは写らないため病院では見逃されやすいですが、筋肉の触診や神経テストにより、判別が可能です。
原因2:仙腸関節の不安定化
▶︎ 骨盤の“微妙なズレ”がしびれを引き起こす
仙腸関節(せんちょうかんせつ)とは、骨盤の中心にある仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)をつなぐ関節で、歩行や姿勢を支える上で非常に重要な役割を果たしています。

この仙腸関節が不安定になったり、わずかにズレることで、周囲の靭帯や神経が刺激され、「しびれ」「違和感」「力の入りにくさ」が生じます。
とくに立ち上がり動作や片足に体重を乗せたときに症状が出る場合は、椎間板ヘルニアではなく、仙腸関節由来の神経症状の可能性が高くなります。
原因3:糖尿病による末梢神経障害
▶︎ 内科的な“しびれ”はまず病院へ
糖尿病によって血糖値が慢性的に高い状態が続くと、末梢神経がダメージを受け、足先にしびれや灼熱感、感覚鈍麻などが現れることがあります。これを「糖尿病性ニューロパチー」といいます。
左右対称にしびれが出る場合や、しびれの範囲が非常に広い場合は、整形外科ではなく内科的アプローチが必要になります。
当院の痺れに対するアプローチ
当院では、「足のしびれ=ヘルニア」と決めつけることはせず、神経・筋肉・関節・内臓など複数の可能性を丁寧に評価することからスタートします。
とくに以下の3つに対して、専門的な評価とアプローチを行っています:
1|お尻の筋肉(殿筋)の硬結に対して
・梨状筋などの深層筋を触診し、坐骨神経への圧迫を確認
・手技によってトリガーポイントを解除
・必要に応じて神経支配のパターンに沿った運動指導も併用
2|仙腸関節の不安定化に対して
・カイロプラクティック評価法を用いて関節の可動性・安定性をチェック
・骨盤のアジャスト(矯正)によって関節機能を回復
・筋力の左右差や支持性の検査も行い、再発防止のエクササイズも提案
3|糖尿病など内科的要因が疑われる場合
・問診・神経テスト・しびれの左右差から全身の機能の状態を把握します
・医療機関での血液検査や内科受診を推奨し、施術との住み分けもご説明いたします。
病院で「異常なし」と言われた方へ
「レントゲンもMRIも異常なし。でも、しびれは確実にある。」
こんなケースにはカイロプラクティックが役立ちます。
画像だけに頼るのではなく、「身体がどう動いているか」「神経がどう働いているか」を重視し、あなたの体を丁寧に見ていきます。
まとめ|見えない原因にこそ、的確な評価とアプローチを
- 足のしびれの原因=必ずしもヘルニアではない
- 筋肉の硬結・関節の不安定性・内科疾患などが原因のことも多い
- レントゲンやMRIでは写らない“機能的な異常”にも目を向けるべき
「病院では異常なし。でもこのしびれ、どうにかしたい。」
そんな時は、どうか一人で悩まずにご相談ください。
カイロプラクティックについて細かく知りたい方はこちらのコラムをどうぞ→【カイロプラクティックとは】