「おなかが痛くなると背中が凝る気がするんです」
「背中がずっと痛いと、胃の調子まで悪くなるんです」
こういったお悩みを施術中に伺う事があります。
実はこれ、単なる“気のせい”ではありません。
私たちの身体は「内臓」と「筋肉」が密接につながっており、互いに影響を与え合う“反射”によって影響だですことがあります。
その反射は内臓体性反射(ないぞうたいせいはんしゃ)と呼ばれてます。
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Toggle「内臓」と「筋肉」は別物とは言い切れません
内臓と筋肉って、一見関係なさそうに思えますが、じつはそうではありません。
普段は胃や腸の働きと、肩こりや腰痛などは、別のジャンルに感じるかもしれません。
でも、私たちの身体は**“神経ネットワーク”で一本につながっています。**
内臓も筋肉も、それぞれが神経によって脳や脊髄とやり取りをしているため、「どこか一部の異常」が「まったく別の場所の不調」として現れることがあるのです。
「内臓体性反射」について
内臓体性反射とは、
**「内臓の不調が、筋肉の緊張や痛みとして現れる現象」**のことを指します。
例えば、胃に炎症やストレス性の緊張があった場合、その情報は交感神経を通じて脊髄に伝わります。
その際、同じ高さの脊髄から出ている神経が支配している背中や肩甲骨まわりの筋肉に、**“誤作動のような信号”**が送られ、筋肉がギュッと硬くなるのです。
つまり、「胃の不調」が「背中のこり」として現れる――これが内臓体性反射の正体です。
臓器は、身体のどこに影響するのか?
代表的な内臓と筋肉の関係は、以下の通りです:
内臓 | 背中の関連部位 | 主な症状例 |
---|---|---|
胃・十二指腸 | 背中の左側(肩甲骨の内側) | 背部痛・背中の重だるさ |
肝臓・胆のう | 右肩・右の肩甲骨周辺 | 頑固な右肩こり、鈍痛 |
小腸・大腸 | 腰の中央部〜下部 | 慢性的な腰の張り感 |
腎臓 | 腰の左右・背中下部 | 鋭い腰痛・むくみ |
心臓 | 胸〜左肩・左背部 | 息苦しさ・左の背中痛 |
※これらはあくまで「反射」のパターンであり、必ずしも内臓に重大な疾患があるという意味ではありません。ただし、慢性的かつ強い症状がある場合は、医療機関の受診も併せてご検討ください。
逆のパターンの「体性内臓反射」について
さらに興味深いのが、逆方向の反射も存在するという点です。
つまり、「筋肉の異常(こり・ゆがみ)」が、「内臓機能に影響を与える」こともあるのです。
たとえば、慢性的な猫背姿勢で胃のあたりが圧迫されていたり、背中の筋肉が過緊張して血流が悪くなっていたりすると、内臓の動きや自律神経のバランスにも悪影響が及びます。
これが「背中が凝っていると、なぜかお腹の調子まで悪い」と感じる正体です。
身体は“チーム”で協力しながら動いています
内臓体性反射、体性内臓反射――
どちらも言えるのは、身体は単独ではなく、すべてが連動しているということです。
私たちは「腰が痛いから腰だけ揉んでほしい」と言われることがありますが、実際には腰だけの問題ではないことが多いです。
お腹の調子が悪かったり、ストレスを抱えていたり、睡眠が浅かったり……。
生活全体が、筋肉や内臓の働きに現れてくるのです。
当院でおこなうこと。
当院では、背中や腰の痛みがある方には必ず内臓の緊張状態や神経の走行を確認しています。
・左の背中ばかり凝る方には「胃・膵臓」の状態をチェック
・右の肩が異様に張っている方には「肝臓や胆のう」への関連を確認
・お腹の調子が長く悪い方には、背中や骨盤の過緊張をほぐしていく
そうすることで、**“根本原因にアプローチ”**できるだけでなく、繰り返し起きる慢性的な痛みを予防することができます。
さいごに:「痛み」は“身体からのメッセージ”
痛みや違和感は、身体からのSOSサインです。
「お腹が痛い」も、「背中が張る」も、すべて神経ネットワークを通じて発せられているメッセージだと考えると、その奥にある原因に気づけることがあります。
背中の張りが取れない、お腹の調子がすぐれない。
そんなときは、「内臓から筋肉へ」「筋肉から内臓へ」という双方向のつながりを意識してみてください。
痛みを通して、身体はあなたに何かを伝えようとしています。
その声を聞き取り、正しくケアしていくことが、真の健康への第一歩です。
※内臓疾患が疑われる場合は、医療機関での検査・診断を優先してください。
当コラムは健康管理と施術の参考情報としてお読みください。
カイロプラクティックについて細かく知りたい方はこちらのコラムをどうぞ→【カイロプラクティックとは】