「〇〇式ダイエット」という言葉が一時大流行しましたね。
その中でもいまだに根強い人気を誇る「低糖質ダイエット」と「低脂質ダイエット」というものが存在します。
もちろん、しっかりと取り組めば結果も出るでしょうし、それなりの効果はあると思います。
しかし、それを行って「継続するか?」と「健康的になるのか?」はまた別問題です。
痩せたからと言って健康になるわけではありません。
痩せ方が大事だと思います。
今回は脂質と糖質のお話をさせて頂きたいとおもいます。
※脂質の具体的な種類につきましてはこの記事では割愛させていただきます。
脂質=太る、という認識を持たれる方がいまだに多いです。
そして、脂質というものの本質をあまり理解されていない方がとても多いです。
なので、まずは脂質というものについてご説明させて頂きます。
脂質というものはエネルギー産生栄養素の一つとなり、1gあたり約9kcalあります。
実にタンパク質や糖質の約2倍のカロリーを作り出します。
「なら普段から脂質を抑えれば簡単に痩せられそう!」と考えるのは少し早いです。
いちど脂質の役割について考える必要があります、
実は人間の身体は脂質がないと不憫になる様になっております。
脂質は細胞を覆う細胞膜という役割も担っております。
それ以外にも核膜を構成したり、皮下脂肪として臓器を保護したり、ビタミンの吸収を促したりします。
現代の食生活では摂取不足になることはあまりないと言われておりますが、もし不足するとエネルギー不足、ホルモンバランスが乱れ、体力低下、皮膚炎などを引き起こします。
反対に過剰摂取になってしまうと肥満になる恐れもあり、高脂血症、糖尿病、生活習慣病など様々な病気を引き起こす要因になります。
この様な事からも、言い換えれば、「脂を制限する」ということは反対に自分で自分の身体を壊そうとしているのと同じだという事がいえます。
そして「脂質=肥満」という考えは間違っております。
実は脂質というものは本来、吸収されにくい性質のものであり、水に溶けにくく、腸から100%吸収するのは難しいのです。
そして脂質には脂質にしかない役割があるので排除していいはずがありません。
1950年代にアンセル・キースという科学者が「飽和脂肪酸(脂質)は心臓病の原因になる」と主張したことからアメリカでは低脂肪(ローファット)ダイエットが流行り、いまだにその流れは続いております。
脂質に対する警戒心をこの頃から強めたアメリカですが、炭水化物や糖質に対しての警戒心はありませんでした。
なので、炭水化物と糖質を過剰に摂取するようになり、2015年の段階でアメリカでは死因の原因の1位が心臓病になり、肥満大国となっていったのです。
これだけ書いてしまうとなんだか「糖=悪」というように見えてきます。
しかし、脂質と同じように糖にも役割があります。
糖質は身体の中でエネルギー源として最も使用されます。
脂質と同じで極端に制限したり摂取してはいけません。
糖自体は脳の活動や神経細胞の働きにおいて必要不可欠なものとなります。
運動時には体内に蓄えられた糖質と脂質が優先的にエネルギー源として代謝されます。
糖質が不足した際には筋肉に含まれるたんぱく質がエネルギー源となります。
糖質が不足すると身体がだるくなったり、疲労感が取れなくなります、
そのほかにもめまい、手の震え、異常な発汗、気分の落ち込みなどの出てきます。
では、糖質を過剰摂取するとどうなるのか?
糖質を過剰摂取すると、まず初めに肥満体型になります。
こうなると血管に慢性的な炎症が起き、善玉コレステロールが減少します。
そして、心筋梗塞のみならず糖尿病、脳卒中、高血圧、がん、アルツハイマーなどあらゆる重篤な疾患にかかりやすくなります。
特に糖質の過剰摂取は万病のもとと言われており、「老化」にもつながります。
糖質の過剰摂取により、血液中のブドウ糖があふれ出してタンパク質と結びつき、体温で熱されることを「糖化」と言います。
糖化が起きると、AGE終末糖化産物という強い毒性を持つ物質が産生されます。
このAGEは肌や骨の老化を引き起こすだけではなく、心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなります。
どの栄養素も、摂取不足や過剰摂取になってはいけませんが、糖質の過剰摂取に関しては、どの栄養素よりも様々な病気になるリスクが高いです。
年配の方で気にしたいのが「高血糖」になります。
日常的に甘いものや糖質を摂りすぎていると、血糖値を上手にコントロールする機能が失われていきます。
結果的にこの状態が続くと「糖尿病」や「糖尿病予備軍」になってしまいます。
最悪の場合、手術により足を切断したり、神経を痛めてシビレが残ったりしてしまう、とても怖い疾患なので注意が必要です。
これまで脂質と糖質についてお話してきましたが、結論をお話しますと太りやすいのは圧倒的に「糖質」になります。
しかし、何度もお話させて頂いているように、大事なのは脂質、糖質の摂る摂らないの2極化ではなく、「バランスよく摂る」ということ。
そしてどの栄養素が自分に一番合うのか?という問題も最近ではその人によって違いがあるという結果も出てきています。
栄養に限った事ではなく、なんでも極端になればどこかに負担が掛かり、最悪の場合は壊れます。
栄養にせよ、その他のライフスタイルにせよバランスを意識したいですね。