整体や民間療法の中には「矯正」という手技が存在します。
矯正する部位はたくさんあります。
足首、膝、骨盤、背骨、肋骨、肩、肘、手、首、後頭骨など。
整体院によりますが、本当に沢山の手技が存在します。
骨盤矯正や猫背矯正などもその中の一部だと思います。
そしてやはり「音」が気になるとおもいます。
「バキバキ」「ボキボキ」という音が好きな方がおられます。
もちろん嫌いな方もおられます。
いずれにせよ「矯正=バキバキ」というイメージがあります。
ここでひとつ質問させて頂きたいのです。
そもそも「バキバキ」と鳴る事で正しく矯正出来ているのですか?という事です。
鳴らないと駄目なのでしょうか?
このことについてあまり考える事がないので「え?」と感じると思います。
テレビや動画コンテンツでは当たり前のようにボキボキしていています。
「ボキボキ整体」という言葉があるくらいです。
「すごい音が鳴った!」と患者様も治療家の方も喜んでおられます。
そもそもなぜ音が鳴るのでしょうか?
今回は矯正音の仕組みについてお話させて頂きます。
それ以外にも矯正というものを行う際に何が重要なのかをお伝えさせていただきます。
まず矯正についてご説明させていただきます。
矯正という意味を平たく言えば、身体のバランスを整えるための作業になります。
これは骨を鳴らすというのみの意味ではありません。
例えば筋肉をほぐしたりストレッチしたりするのも矯正の一種になります。
広い意味でいうと身体を整えようとするすべての作業を矯正とも言えます。
その中でもいわゆる「骨の歪み」を整えようとする事が「骨格矯正」になります。
その骨格矯正の種類の中によく言う骨盤矯正や猫背矯正などが存在します。
世間一般の矯正のイメージはこちらが強いと思います。
音が鳴る矯正もこちらになります。
では、なぜ骨格矯正の際に音が鳴るのでしょうか?
骨は動くというイメージがありますが、実は骨は動きません。
理由は骨以外の部分になります。
結論からお話する「関節」が原因になります。
これは骨がぶつかる音ではありません。
これは「クラッキング」という現象になります。
このクラッキングについて説明させていただきます。
まず、骨というものは単体で活動しません。
必ず骨と骨でつながり連携を取っております。
そして、その骨と骨がつながって関節を作ります。
その関節を守るために覆っている膜があります。
これを「関節包」と言います。
クラッキングはこの関節包内の変化が原因で生じます。
関節包内には滑液という粘り気のある液体が存在します。
この液体はヒアルロン酸やたんぱく質を含み、関節の摩擦を軽減したり、関節の動きを滑らかにしてくれます。
矯正音はこの関節内の内圧変化や滑液に生じた気泡のはじける音だとされています。
この気泡がはじける際に「ポキッ」と音が鳴るわけです。
他にも関節を曲げ伸ばしすることで関節内の容積が増すことも原因です。
例えるならばワインのコルクを抜く際に音がなる感覚です。
正しく矯正がされた場合には身体に掛かる負担は少ないと思いますが、過度な矯正はかえって悪影響となります。
何故なら気泡がはじける瞬間は少なからず関節内に負担が掛かるからです。
その細かなストレスにより、骨や関節を痛めてしまう方は少なくありません。
例えば矯正後にむち打ちの様な症状になったり、頭痛が出る方もおられます。
問題なのは、その事を考えず「鳴ったら気持ちいい」という理由だけでバリバリ矯正してもらおうとする事です。
それ以外にも自分で無理に関節を鳴らそうとするのは危険です。
何度かお話させて頂いている事ですが、サブラクセーションが生じると関節に固い部分と柔らかい部分が生じます。
首や腰をバリバリ自分で鳴らしてもその固い部分は取れません。
その際には常に柔らかい関節に負担が掛かり続けます。
固い場所が動かず、柔らかい場所だけに負荷をかけ続けるとどうなるか?
やがて柔らかい関節の周辺が不安定になります。
間接が不安定になるとその不安定な部分を筋肉で補おうとします。
結果として筋肉の過緊張が起こり肩こりや頭痛が出る場合があります。
そしてその症状が辛いために、また自分でバリバリ鳴らしたり、バリバリ鳴らしてもらったりします。
この様な悪循環になるとあまりよろしくありませんし、長い目で見たときに身体に負担が掛かり続け故障の原因にもなります。
確かに鳴れば気持ち良いですし何となくそれっぽいですが、実はこの様な裏側があるのです。
なので「鳴る=良いこと」ではありませんし「鳴る=矯正出来た」という事にはなりません。
もちろん固い部分をしっかり矯正すると鳴る場合もありますが、ならない場合もあります。
固い部分の場合はどちらかというと「バリバリ」という様な軽い感じの音ではなく、「ゴクッ」という様な鈍い音がします。
どこかで施術を受ける際にはこの様な部分に気を配ってみてもいいかもしれません。
そして、矯正音が怖く苦手意識を持たれている方に対しては、無理に矯正を行わなくてもサブラクセーションを除去する方法はあります。
方法はいくつも存在します。
※矯正速度がサブラクセーションに及ぼす専門的な影響については割愛します。
もし、カイロプラクティックや矯正というものに興味があるが、何かしらの不安や恐れを抱いている方は一度お気軽にご連絡をいただければ幸いです。