患者様との会話の中で「最近においが感じづらくなった」というご相談いただくことがあります。
特にここ2年で増えたような気がします。
嗅覚というのは日常生活を豊かにするうえで欠かせない機能になります。
(ん、なんだか匂いがしないな?)このような経験は誰もがあると思います。
特に鼻がつまってしまうと息苦しくもなり、頭がボーっとします。
匂いというのは何かを覚える際にも重要な要素となり、とても大事な機能になります。
しかし、慢性的な嗅覚異常というものは認知機能の低下や食欲の低下にも繋がる重大な疾患になりかねません。
今回は嗅覚の具体的なメカニズムや、嗅覚異常によって引き起こされる弊害、そして対処法までお伝えさせて頂きます。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
「嗅覚とは?」
では具体的に嗅覚とは何なのか?
簡単ですが「匂いを感じる器官」になります。
そして匂いを最終的に感じるのは「脳」になります。
まずはメカニズムについてご説明させていただきます。
当然ですが「匂い=鼻」というイメージがある様に、空気中の匂いを持っている分子が鼻の中に入ります。
そしてこの分子が鼻腔(鼻のなか)にある嗅上皮という粘膜にくっつきます。
その嗅上皮には匂いを感じ取るための「嗅細胞」というセンサーがあります。
この嗅細胞が働き結果として匂いを感じるという事になります。
すこし難しいですが、匂いの伝達方法としては嗅上皮→嗅神経→嗅球→脳になります。
鼻から匂いを嗅いだら脳に匂いの情報が届くと思っていただければ結構です。
これらがうまく協力しあう事で嗅覚が正常に働きます。
では、なぜ嗅覚異常が引き起こされるのでしょうか?
答えは簡単で「このルートのどこかに異常がある」という事です。
代表的なものは以下になります。
・かぜ
・物理的要因
・加齢、認知症
これらを具体的に説明させていただきます。
「かぜ」
かぜにもいくつか種類があります。
代表的なものとしては「副鼻腔炎」「アレルギー性鼻炎」などがあります。
副鼻腔炎は鼻のなかの空洞部分が細菌や様々なウイルスによって炎症を起こしてしまう事で生じます。
炎症を起こすとその患部の症状を排除しようとして鼻水がでます。
その様な流れで鼻の中の粘膜が腫れます。
すると、匂いを感じとるエリアまで匂い分子が届かないため、匂いがしなくなる事があります。
アレルギーも似たような症状です。
ダニ、花粉、動物の毛などのアレルギー物質により鼻の粘膜にアレルギーが生じる事で引き起こされます。
これが慢性化すると匂いを感じづらくなるわけです。
「物理的要因」
これが外部からの物理的な要因によって起きる症状です。
「鼻骨骨折」「頭部の外傷などが挙げられます」
鼻骨の周辺には嗅球、嗅神経などの匂いをキャッチする細胞が存在します。
「鼻を折る」という事はこの部位を激しく損傷することになります。
結果として神経が切れてしまったり損傷することによって症状が現れます。
頭部外傷も同じような理論です。
少し違うのは脳の損傷による影響を受けやすいという事です。
「加齢」「認知症」
加齢による原因は諸説ありますが完全には解明されておりません。
好発年齢は男性であれば60代、女性であれば70代とされております。
考えられる原因としては嗅神経や脳機能の低下により匂いを感じづらくなってしまう事が考えられます。
「認知症」
具体的な病名でいえば「アルツハイマー」などがあります。
アルツハイマーは記憶力や理解力なども低下します。
そして原因としては「海馬の萎縮」などが挙げられます。
海馬というのは脳の一部に存在しており、主に記憶に関与しております。
そして長期記憶と短期記憶などの選別を行います。
じつは嗅神経はこの海馬と密接につながっております。
これによって何かしらの思い入れのある匂いを嗅いだら昔を思い出したりするわけです。
学生のころを思い出したり子供のころを思いだしたり、いろいろな記憶がよみがえるわけです。
アルツハイマーはこの海馬の萎縮により嗅神経の活動低下が起きる事が原因とされています。
では、具体的にどう対処すればいいのか?
大きく分けて以下になります
・「嗅覚トレーニング」
・「カイロプラクティックケア」
嗅覚トレーニングの方法は簡単で「意識して匂いを嗅ぐ」ということになります。
これによって嗅細胞の活性化や再生を促すトレーニングになります。
治療法によって様々な匂いを嗅いだりもしますが、普段何気なく嗅いでいるものを意識して嗅ぐことが最も簡単です。
そして、カイロプラクティックケアも重要です。
今回のお話でも触れたように、嗅覚は神経と脳とのやり取りで出来ています。
これは嗅覚だけではなく、身体のすべてにおいて言える事です。
このやり取りがない器官や身体活動はありません。
身体と脳はすべて電気信号のやり取りで出来ています。
しかしサブラクセーションが除去できていないとこの電気信号はうまく働きません。
なので、定期的にカイロプラクティックケアをうけて、なるべく身体を良い状態にする事をお勧めします。
それ以外にも、運動や食生活の改善なども有効です。
まだまだ詳しいことが解明されていない嗅覚であり、厳しい言い方になりますが、神経や細胞の問題は何かをしたからと言ってすぐに変わるわけではありません。
しかし、なんにでも言える事ですが、コツコツとやれることをやっていく事が大事だと思います。